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【カルジェリストインタビューVol.12】鈴木 朋弥さん/AYOMOTオーナー

卓越した技術と抜群のトレンド感覚で絶大な支持を集める、人気カルジェリストをインタビューするこのコーナー。今回は、青山にある完全紹介制のプライベートサロン「AYOMOT」のオーナーであり、美容師・ヘアメイクアーティストとしても活躍中の鈴木 朋弥(すずき ともや)さんにご登場いただきました。

元々はフランス料理のシェフだったという、驚きの経歴を持つ鈴木さん。しかしその経験は、現在のサロン運営において大いに役に立っているようです。再来年で創業20周年。宣伝活動を一切行わずに大きくなってきた「AYOMOT」と、凄腕の経営者兼、トータルビューティのエキスパートでもある鈴木さんの仕事論を伺ってみましょう。

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完全紹介制サロン「AYOMOT」

——99年に創業されたAYOMOTさん。完全紹介制とは伺っていたんですが、HPも広告ページすらも掲載されていないという徹底ぶりで驚きました!

suzuki
情報が少なくてすみません(笑)。よく聞かれるんですよ、なんでHPも看板もないんだって。でもこのスタイルは、僕の原点とも言える、あるフランス料理のレストランから学んだもの。元々僕はフランス料理のコックをしていたんです

異業種から美容業界へ

——えっ! それは意外ですね。全くの異業種から、なぜ美容の世界に入られたんですか? 鈴木さんのキャリアについてお伺いさせてください。

suzuki
元をたどれば、中学生の頃なりたかった職業は美容師だったんですよね。ただ、明確な理由があったわけではなくて、このままサラリーマンになるのは嫌だなって漠然と思ってて、自由な職業って何だろうって考えた時に美容師っていいな。私服で働けるしって(笑)。校則とか制服着用とかそういった類のものが嫌いだったんです。

そう思いながらも、高校に入ってバイトしたのが、地元・鎌倉のフランス料理のレストランでした。芸能人とかもお忍びでくるような隠れ家的なお店だったんですけど、聞けば一切宣伝もせず取材の依頼も断っていたらしくて。

——今のAYOMOTさんのスタイルに似ていますね。

suzuki
先ほどお話しした通り、今うちのサロンがこういったスタイルで営業しているのって、そのレストランの影響が大きいんですよ。だけど当時の僕は、メディアに取り上げられて有名になることが、当たり前のように良いことだという価値観を持っていたので、オーナーになぜそうしないのか理由を聞いたんです。せっかく有名になるチャンスがあるのに、それを断るのはもったいないって思って。

そしたらオーナーから「もしこの店が雑誌に出たらどうなると思う?」って逆に聞かれました。「きっと翌月には雑誌に出てるレストランが好きな人たちが押し寄せてくるだろう。でも、翌々月に隣のレストランが雑誌に出たら、潮が引いたみたいにその人たちは隣に行ってしまうんだよ」って。「この店にとって大切なのは今来てくださってるお客様。君がもし将来何かの商売をする時がきたら、誰を顧客にしたいのかをちゃんと考えたほうがいい」って言われたのが、今でもすごく印象に残っています。まあ、といいつつも有名になるチャンスがあるのにそれを断るのはもったいないって、心の底では思っていましたけど(笑)。だけどよくよく今考えたら、当時周りにあった有名なレストランってほとんど潰れちゃってるんですよね。バブルが崩壊した頃だったっていうのもあるかもしれませんけど。

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——興味深いお話ですね。そのまま、そのレストランに就職したんですか?

suzuki
はい。高校卒業してからそのまま就職。皿洗いから入って、一通りのことは教えて頂きました。だけど大学に進学した同級生が卒業して就職する頃には色々考えるようになって。このままレストランで働くのもいいけど、何か挑戦しないと後悔しそうって思ったんですよね。で、何やるか考えた時に、昔からやりたかった美容師とか、芸能界に近そうなヘアメイクの世界っていいなと。

——なりたかった職業とはいえ、異業種への転職ってかなり大変ですよね。

suzuki
知り合いのヘアメイクの方がやっている美容室に転職して、一から修行しました。当時はヘアメイクをやっている方が美容室を開くっていうパターンが多かったので、ヘアメイクとサロンワークを両立するという考え方が当たり前にあって。じゃあ美容師免許も必要だなと思い、通信教育で25歳の時に資格を取得しました。

——その時は東京にいたんですか?

suzuki
いえ、地元です。金銭的にも自立してなかったので実家暮らしでした。でもゆくゆくは東京で勝負したいと思うようになって、勤務先のオーナーに相談したんです。そしたら「都内の美容室を紹介するから、休日だけそこに行って1人で実力を試してみなよ。技術がちゃんとあれば紹介で人が集まってくるしリピーターも増えるでしょ」って。それから週に1度、休日だけ都内のサロンで働き出したんですけど、そしたら徐々にお客様が増えて、1年で100名くらいの新規の方がいらっしゃるようになったんです。

——それはすごいですね!

suzuki
忙しくなって週に2度、3度と都内へ行く頻度が増え、鎌倉のオーナーにも背中を押される形で独立。28歳の頃に都内で自分のサロンを開くことになりました。

——それがこちらのサロンだったんですね。

suzuki
そうです。物件の場所は青山がいいって最初から思っていて。このビルの一室を借りてオープンすることにしました。ちなみに場所は変わっていませんが、おかげさまで来客が増えてきたので増設しました。現在はこのビルに3部屋、あと2〜3分歩いたところにもう1店舗構えています。

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——全部で4つの場所があるんですね! ちなみに、店名の「AYOMOT」ってどういう意味なんですか?

suzuki
後ろから読むと「TOMOYA」。つまり僕の名前です(笑)。

——確かに! 気づきませんでした(笑)。

suzuki
看板を出す必要はなかったけど、表札に何か書かないといけなかったので、じゃあ自分の名前でいいやって。まあ、「鈴木」でもよかったんですけどね(笑)。最初はフランス語とかイタリア語のオシャレな名前を色々考えたんですけど、ありふれた名前にするよりも自分の名前を出した方がいい気がしたんです。「TOMOYA」を鏡に移せば「AYOMOT」になる!これでいいかって(笑)。看板とか屋号に対するこだわりはあまりなくて、アトリエみたいな場所があればどうにかなるだろうってスタートしたのがこのサロンです。

「AYOMOT」のポリシー

——お店のポリシーは?

suzuki
メイクもできる美容室っていうのが創業当初の売りだったんですが、当時はカリスマ美容師ブーム絶頂期。うちにいらっしゃるお客様が他のサロンで何を不満に思っているかというと、「ほとんど話も聞いてくれずにヘアデザインを押し付けられてしまう」「みんな同じような流行りのヘアスタイルにされてしまう」ってことだったんです。マーケティングの手法として、雑誌にヘアを載せて「ヒットヘア」を生み出して、お客様がそれを切り抜いて持ってくるみたいなパターンが多かったんですよね。まあ、営業効率としては良さそうですけど。ただ、最新ではなくて“最適なもの”を提案するのが、僕らの仕事だと思っているのでうちの店はカウンセリングを大切にしています。その方の顔立ちや服装、なりたいイメージを踏まえ、トータルで提案できるのが強みです。

——初回の方には、30分近くカウンセリングをするそうですね。

suzuki
何はともあれよくお話を伺うこと、それが昔からのポリシーです。「綺麗になりたい」というお客様の希望を叶えるのが目的なので、ヘアだけネイルだけというご提案をすることは少ないです。予算と時間に応じて、“綺麗になるための選択肢”を増やしていくのが使命だと考えています。

——鈴木さんをはじめ、スタッフの中にカルジェルの資格をお持ちの方が数名いらっしゃるとか。

suzuki
在籍スタッフ15名中、僕を含めた6名がMOGA・BROOKさんのカルジェル講習を受けています。以前は専属ネイリストさんを雇っていましたが、なかなかうまく機能しなかったんですよ。だったらお客様とコミュニケーションを取れるスタッフが兼任でネイルをやった方がいいだろうと思い、お付き合いのある代理店さんにMOGA・BROOKさんをご紹介頂いたんです。片手間で美容師がネイルをやるのは大変かもしれないけど、このままのスタイルじゃいけない。そう考えて、思い切って講習を受け、カルジェルの導入を決めました。

——鈴木さんもネイルをやられているんですか?

suzuki
僕はやっていないです。ただ、知識がないとスタッフにクオリティを要求しづらいし、何がどういいのかという判断もできない。逆に僕がネイルの技術やその難しさを理解していれば、クオリティやメニューに関して一歩踏み込んで要求や提案ができる、そう思って講習を受けました。

——素晴らしい方針ですね。

suzuki
ちなみに、ネイルメニューに関してはカルジェルのみを取り扱っています。実際に自分の爪でも試してみましたが、違和感や爪が呼吸できない感じがなくて、他商品との違いをはっきり感じられたので。素材や自爪に対する配慮、確かな品質や教育サポート、そういったところにも魅力を感じました。

トータルビューティーの中のネイル

——AYOMOTさんにとって、ネイルはトータルビューティの一環として行なっているものですよね。どういう取り組みをされているんでしょうか?

suzuki
大前提として、元々ネイルにこだわりのある方は、既にネイルサロンなどの専門店に行かれていると思うんですよ。でも、うちでネイルをする方の多くはそうじゃないわけで。だとしたら僕らは、高い技術性や凝ったデザインを売りにするのではなく、どれだけその人の魅力を引き出せるかをシンプルなデザインのネイルで勝負すべきなんじゃないかなと。アートというより“身だしなみ”としてのネイルを提供する、といった感覚に近いかもしれません。長年ヘアとメイクをやっているので、肌や髪の色味に合わせたカラーを選ぶのが得意、というのが強み。そして、なぜこの色が似合うかという根拠や理由を説明することで、お客様に理解・納得して頂くということも大切にしています。それはヘアでもメイクでもネイルでも同じこと。だからカウンセリングに力を入れているんです。

——どんな客層が多いのですか?

suzuki
ほとんどがリピーターで、30代後半〜50代中盤がコアな層。美意識の高い方が多く、男性のお客様も年々増えてきています。今は来客の3割以上が男性。女性に比べると滞在時間は短いですが、来店頻度が高いんですよ。マメな方だと10日に1回程度。ヘアカット、ネイルケア、マッサージが人気で、少し前からオーダースーツなども承るようになりました。

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——オーダースーツ! こちらに置いてあるボディ(写真上)はそのためだったんですね。

suzuki
そうです(笑)。ただ、自社で全て行なっているわけではなく、他企業とコラボレーションして行なっています。現在は様々な企業の方と、お互いお客様を紹介しあったり業務提携を行ったりして、少しずつできることを拡大しています。

今後の目標や展望

——最後に、今後の目標や展望について教えてください。

suzuki
トータルビューティサロンという位置付けで、事業を横展開していきたいと考えています。サロンの4つ目の部屋にはエステルームもあるんですけど、フィットネスジムやスパだったり、はたまたオーガニックカフェだったりを併設して、「ここに行けば綺麗になれる」という複合的な場所にできたらいいですね。みなさん、旅行とか非日常的な空間って好きじゃないですか。だから僕はお客様に、綺麗になることを目的とした非日常的な空間、美しくなるための旅のようなものを提供できれば嬉しいと思っています。“美”ってその人の人生を豊かにしてくれるものですから。

——貴重なお話、ありがとうございました!

AYOMOTの「ビューティディレクター」佐藤さんのネイルが見てみたい!

過去にはこんなカルジェリストさんにもインタビューしています

店舗情報

AYOMOT(完全紹介制・プライベートサロン)
東京都港区南青山5-12-27 南青山ワイズ512-201
お問い合わせ:03-3797-3799
定休日:火曜日