【カルジェリストインタビューVol.9】川上愛子さん/株式会社CoeurBeauty・ANSEM爪肌専門学識委員会

卓越した技術と抜群のトレンド感覚で絶大な支持を集める、人気カルジェリストをインタビューするこのコーナー。今回は、ネイリスト以外にも様々な肩書きを持ち、マルチな活動をされている川上愛子さんに登場して頂きました。MOGA・BROOK社公認カルジェルエデュケーターをはじめ、日本スキンケア協会認定講師/スキンケアカウンセラー、日本化粧品協会認定コスメコンシェルジュインストラクターなど多数の資格を保有。メディアへの出演、講師業や執筆活動にも携わり、活躍の場を広げている川上さんの言葉には、働く現代女性の心に響く要素が盛りだくさん! ぜひご一読ください。

「正しい知識を正しく発信できる人材」の必要性

——ネイリスト以外にも様々な肩書きをお持ちの川上さんですが、今はどういった活動を主になさっているんでしょうか?

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ネイルサロン・エステサロンを経営し、経営講師のお仕事や執筆業などを行う傍ら、現在は1月に立ち上げた『ANSEM 爪肌専門学識委員会』(以下、ANSEM)での人材育成業に力を入れ、爪や肌、化粧品成分、ネイル材料成分など幅広い知識を広める活動を行っています。

——ANSEMのHPを拝見しましたが、本当に幅広いジャンルの講座を開設されていますよね。栄養学や法律、文章のライティングに関するものまであって驚きました。

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元を辿れば、ANSEMを立ち上げることになったきっかけはカルジェルなんです。爪と手のケアを同時にできるというのがカルジェルの特色なのですが、エデュケーターとして爪や肌のことを学ぶうちにもっと詳しく勉強したいと思うようになり、色々な分野の知識を深めることができました。だいぶん昔のお話ですけどね(笑)。その結果が今に至ります。そしてその延長線上で、美容に関する執筆の仕事を頂くようになりましたが、媒体の編集部が求める専門記事は思ったよりもハードルが高くて。編集部の方はネイル知識をもたない一般の方なわけですが、そういった方々がプロのネイリストに求めるものに、「ネイルの知識だけ」でお応えするのは難しいと実感させられました。そのうち、執筆のお仕事をたくさん頂けるようになり書ききれなくなったので、友人のネイリストたちに一緒に書いてもらえるようお願いしたのですが、簡単には編集部OKが出なくて。やっぱり必要とされていたのは深い知識とスキル。その要望を満たすためにはもっと勉強が必要だと感じました。

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kawakami

弊社では美容に関する専門家コラムニストのチーム「A With Passion」を運営しておりまして、ネイリスト、エステティシャン、美容師、大学教授といった様々な分野の専門家が所属しているのですが、その中でもネイリスト陣だけが、商業的な文章力や薬機法や著作権などの知識が弱いという事実が判明しまして……。そこから、じゃあ教育カリキュラムを設けようという話になったんです。皮膚やスキンケア、化粧品、成分などの知識以外に、記事を書くために必要なライティングスキル、著作権や肖像権を含む法律の知識といったものも学べる場を作ろうとしたのが、今やっていることの原型。意外にも講座を受けてみたいとおっしゃる方が多かったので、じゃあ皆で一緒に勉強しようという感じでスタートしました。

——受講して試験に合格すると「爪肌育成マエストロ」の資格がもらえるそうですが、こちらは誰でも取れるのでしょうか?

kawakami

どなたでも大丈夫ですよ。今はネイリストの方が多いですけど。ANSEMで学ぶと日本スキンケア協会の資格、日本化粧品検定協会の資格も同時に取得することもできるんです。先日初めてANSEM認定の「爪肌育成マエストロ」試験が行われ、今まさにその採点中(※取材当時)。なんとか受験者30数名、全員が受かっていることを心から願っています。

——受講内容はどんな感じなのでしょうか?

kawakami

受講日数は計4日間。1日に複数の講座を受講し、最後に希望者は試験を受けて頂くという流れです。ネイリストはネイルのことだけ知っていればいいわけではないと思いますし、その知識をブログやSNSなどで記事にする場合は、著作権とか肖像権の情報も知った上できちんと伝えることが大切。「正しい知識を正しく発信できる人材」を育成するのがANSEMの目的です。情報について何かと厳しいご時世ですからね。

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——ネイリストじゃなくても気になる内容ですね。私もライターとして個人的に気になる内容が多いです。

kawakami

無料体験もありますし、ぜひ受講してみてください(笑)。ネイリストの方に受けて頂きたいのはもちろんですが、色々なジャンルの方に役立つと思います。ネイリストは「資格がなくても、勉強しなくてもできる仕事」というイメージを払拭したいという願いがあって。絶えず練習して勉強しているプロフェッショナルのネイリストと、そうでないアマチュアの方との差をお客様がしっかり感じられるようにしたいなと感じています。深く幅広い知識を持てば仕事の幅も広がってきますし、お客様の安心感も信頼感も大きく違ってくると思っています。
必然的にANSEMの試験の内容も簡単ではありませんが、それだけちゃんとした知識が身につくはずです。

——ネイリストだからネイルのことだけ、ではなくそこから派生する色々なことを総合的に学べるというのは素晴らしいですね。今の所ネイリストになる予定はありませんが、ぜひ無料体験会に行ってみたくなりました!

点と点を繋げる活動

——川上さん自身、ネイリストとして長いキャリアをお持ちで、現在もネイルサロンを運営されていますが、そこでは川上さんも施術されているんですか?

kawakami

こちらのクールドュフェール(※取材場所)と都内にもう1店舗あるんですが、広告なども全然出してなくて会員制という形でひっそりやらせて頂いています。私自身も施術は行っていますが、今はANSEMはじめ様々な場所で講座を担当させて頂いたり執筆したりと忙しくて、恐縮ながらご新規の方はお断りしている状況です。

——ネイルのことに捕らわれず、これまで経験されてきたことを色々な形で活かして、アクティブに活動されていますよね。点と点を繋げてうまくアウトプットしている感じがして、本当に感心いたします。あと、気になることといえば、ご当地キャラ事業もやられていましたよね。こちらのお話もちょっとだけお聞かせ頂けませんでしょうか?

kawakami

「ふなっしー」をはじめ様々なご当地キャラを取り扱っていました。現在もご当地キャラのグッズ製作をお手伝いさせて頂いたり、イベントに参加させていただいたりと、多方面で事業を展開させて頂いています。

——こちらの事業に携わるようになったきっかけは?

kawakami

東日本大震災です。私は山形出身なので東北各地に友人がいるんですが、震災があった当時は仕事をなくした人が多くて……。地元の友人と、何か現地に仕事を作れたらと話していたんです。最初にパッと思いついたのはネイルの仕事だったのですが、今は向こうにネイルサロンを作るタイミングじゃないと思って止めました。そこでたまたま思いついたのが、ご当地キャラのグッズ製作だったんです。製作を東北でやれば仕事になると。さっそく担当の方に直接連絡を取って、コラボレーションが始まりました。元々ちゃんとしたコネクションがあったわけではなかったので完全に飛び込みの形でしたが、そうやってダメ元で飛び込んでみた結果、実現することになったんです。

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——何かアイディアを思いついても、色々な壁があって尻込みして諦めてしまう人が多い中、それを行動に移せるところはやはりすごいと思います。

kawakami

ここでは言えないような失敗も色々してきていますけどね(笑)。それでも怖がらず、難しいことは考えずにやってみることを心がけています。東北に仕事を作るって大きな計画として捉えると大変なことに思えるけど、小さなことなら自分でもできそうですよね。募金だと思えば少し位のお金が出てもいい、と自分で納得できたので始めました。そういう意味では、ANSEMも同じような流れですね。思いついたアイディアを実現しようと行動した結果、立ち上がった事業です。

——興味のあることはどんどんやっていくと。そのバイタリティはさすが! 勉強になります。

kawakami

大人になると何かをやって失敗した経験が増えてくるし、行動を起こすのが怖くなってしまうという方も多いですよね。でも尻込みせず、思いついたらチャレンジすることが大事です。チャレンジといえばもうひとつ。実は私、Twitterがまだ英語版しかなかった頃から始めていたんですよ。10年位前のことですが、無料だし個人情報も出さなくていいし、一言呟くだけで大勢の人に伝えられるってすごい! 良い広告になるんじゃないかと思って。当時はまだフォロワーが50〜100人で多いといわれた時代で、一般の方や芸能人の方にもそれほど認知されていない状況。そんな時に「ツイドル選手権」というのが開催されて、見事1位になったんです。そこから色々な企業様やメディアの方々から注目して頂けるようになり、「コラボしませんか」「情報を発信してくれませんか」というオファーがきて、色々な繋がりとお仕事が増えてきました。やはり臆せずに何でもやってみる、というのが肝心だと思います。

——そうやって行動してきたことが全て今のキャリアに繋がっていったんですね。

プロであるということ

——色々な分野で活躍する川上さんですが、今興味を持っていることはなんですか?

kawakami

ANSEMを立ち上げてから、色々な企業様にご興味を持って頂いています。ネイリストって女性のお客様とつながりが深いじゃないですか。今、女性顧客を集客したいと希望している企業様から、「ぜひ一緒に何かやりませんか」ってお問い合わせを頂いている状況で、どこまで他のネイリストの方たちを巻き込んでいけるか、どこまでネイリストの職域を広げていけるかということに興味があります。また、業界自体の底上げもしていきたいと思っています。

——今のネイル業界の動向をどうご覧になっていますか?

kawakami

ネイルのトレンドはどんどん多様化してきていると思うんです。少し前までは皆、「これが流行っている」というものを横揃いで追っかける、といった風潮がありましたが、今は全然違います。SNSの普及で多くの情報をシェアできるようになったからかもしれませんが、今はネイルの色使いやデザインも含めて、すごくバリエーションが増えましたよね。NGというものがなくなってきた気がします。

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——セルフネイルが流行している今、ネイリストに求められるものは何だと思いますか?

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今はネットですぐに何でも調べられますよね。そこである程度の情報を知ることができるし、疑問に思ったことや知らないこともその場で検索できるので、お客様の方が色々詳しかったりします。つまり「プロの言うことをそのまま全て信じる」方が減ってきていると思うんですよね。ネイリストは、プロだからこそ一般の方よりもずっと上の知識量を求められる時代になったといえるのではないでしょうか。ネイルができるのは大前提ですが、プロとして正しい専門知識を持って発言することで、「ネイリストってやっぱりすごい」って思ってもらえるようにならないといけません。例えば、タンパク質を摂ると爪に良いとよくいわれますが、それだけでは知識として不十分。タンパク質を動かすための栄養も必要、というところまで勉強して知っておかないと。「化粧品検定」という資格に関していえば、受験者が10万人突破しているんです。つまり既に10万人が皮膚や化粧品成分や洗浄成分に関して勉強している現状。一般の方でも同レベルの知識を持っている方が増えていますし、これからのネイリストはさらにその上を目指すべきではないでしょうか。具体的にいうと、ネットに書いてある情報が嘘か本当かわかる位の知識が必要だと思います。執筆する記事に関しても一緒で、何かの引用なしで書ける知識を持った人はやはり強いですし、重宝されるはずです。

——ネイリストに限った話ではなく、色々なものが精査されて真価が問われる時代に突入したのかもしれませんね。では、川上さん自身のネイリストとしてのポリシーを教えてください。

kawakami

ネイリストとしてこういう発言をすると誤解されるかもしれませんが、私がネイルを施術する時はネイルを「主役」だとは考えてないんです。目の前にいるお客様の雰囲気の邪魔せずに、その方の求めるイメージを現実化するには何を足せばいいか、という発想でデザインを考えます。こちらからデザインを提案するというよりは、お客様がどうなりたいと心で思っているのか、何を欲しているかをお伺いして、それに合うイメージを膨らませていくんです。例えば明るく前向きな気持ちになりたいとか、仕事ができる女性になりたいとか。あるいは芸能人の方だったら、グラビアの撮影で肌を白く見せたいとか、痩せて見えるようにしたいとか。その方がなりたいイメージを大切にしたいので、カウンセリングはとても重視していますね。

——その人のイメージではなくて、その人がなりたいもの、欲しいものに合うネイルを提案するんですね。

kawakami

自分の手ってずっと目に入りますよね。ですから、なりたいイメージに合うものを爪の上に施すと、イメージを意識する回数も増えますので服装や持ち物も変わり、自ずと気持ちも変化してくるんですよ。爪には「自己暗示力」があり、第一印象をコントロールすることも可能といわれています。人の第一印象が決まるのは6秒といわれ、その印象をクリアするのに大体300時間かかるといわれています。だからこそ初めて目にする時の爪の印象はすごく重要。その方の趣味嗜好はもちろん、性格や健康状態まで爪に出る場合だってあります。ストレスの多い人は巻き爪になりがち、平らで幅広の爪の男性は浮気しない、といった「爪相」と呼ばれるものもあります。初めて会った方の爪は思わずチェックしてしまいますね(笑)。

——とても面白くて参考になるお話、ありがとうございました!

過去にはこんなカルジェリストへのインタビューも行っています♪

川上先生情報

川上愛子 オフィシャルサイト
https://www.aikokawakami.com

ANSEM 爪肌専門学識委員会
https://www.ansem-japan.com

A With Passion
https://www.a-withpassion.net